「あのさ…。出来上がるまで我慢しようよ。ていうか手動かす」



「だって俺やっても上手く出来なかったんだもん。花音やって。俺見てるから」





…何が「だもん」だ。





と思いながらも、それが必要以上に可愛く思えただなんて口にはしない。



渋々手を動かせば体を宙に浮かせながらもキラキラとした目で花音の手元を見るカイルに思わず笑みが漏れた。





…本当に。



カイルが来てからまだ1週間程しか経ってないというのに。



どこか家の中に華が咲いてしまったかのようになってしまっている。



バイトが終わり帰ってくれば電気が点いている事。



「おかえり」と「ただいま」を言い合える事。



休みの日にまともに料理をしたり、こうしてお菓子作りをしたり。



一人で居た頃には考えられないような事ばかりだった。