「……昔ぃ、ちょっとイタズラしちゃってぇ、そしたら母上と父上が怒ってぇ。んで一種のお仕置き?みたいな感じでぇ、」



「うん。とりあえずその話し方やめようか。何となくムカつく」




花音が呆れながらに言葉を落とせば再度カイルからは舌打ちが鳴り響く。




「…つまり。ちょっとしたイタズラの罰として人間の願い事を1万回叶えて来いって言われたわけ。んで俺、今9999回目なのよ。だからお前で最後」




ビシっと指を差され、そんな事を言われても花音にはプレッシャーにしかならない。



自分には欲しい物の見当など未だついていないのだから。



それならいっそ、適当に願い事をして帰ってもらおうか。



自分で最後ならカイルとてその方が良いに決まってるだろう。





思いついた花音にカイルが思い出した様に告げた。





「あ、それから願い事って、本気で願った事しか叶わねぇからな」





告げられた花音の思惑は撃沈したのだった。