「…父上。俺も異論があります、」




その表情は真剣で、そして迷いがない。




「彼女と結婚出来ないのなら。俺は国王になるつもりはありません。人間界に残って彼女と暮らします」




「…何?」




「現時点で俺の婚約者は彼女です。そして彼女の願い事は先ほども言ったように「俺がこの国で婚約者と幸せになる事」。それが認められないのであれば、彼女は他に願い事をする権利があるハズだ。彼女がその願い事を口にするまで俺は彼女と共に人間界に残ります」




「…お前まで何を言い出すんだ」





先ほどの強い威圧感の中にもどこか迷いが浮かぶ。



それはきっと国王が国王としてではなく、ただの父親としてカイルを見た瞬間だったのかもしれないが。