「…ちょっと待ってよ、」




最初に異論を唱えたのは王妃だった。




「どうして?!どうしてカイルなの?!他にもっと相応しい者がいるでしょう?!」



「王族の直系の血を引くのはカイルだけだ。それにリルの件でカイルはその時に修行をたっぷりと積んでいる。今ならカイルが国王になって困る事など何一つ無い」



「だけど…!」



「この国の王は私だ!次期国王は私が決める!」





強く言葉を発した国王に王妃は何も言えなくなった。



その威圧感はビリビリと空気を伝い、花音やカイルにも強い緊張を与えた。



それでもカイルはどうにかして言葉を落とす。



右手に感じる花音の手の温もりを確かめながら。