長く続く廊下。



ところどころに置かれている花もモニュメントも様々な色をしたシャボン玉で。



これが現実だと受け入れてしまえば花音はどこかウキウキとした気分に陥ってしまう。



何せ、全てが初めて目にする物なのだ。




「…お前、もう少し緊張感とかねぇの?」



「いや、でも綺麗だしさ」




どうやら花音にはカイルの危惧している心配事が少しも伝わってはいないらしい。



それでも、そんな花音を見てどこかカイルは緊張が解けた様な気がした。



やがて、二人はある大きな扉の前に辿り着く。




「国王様はこちらにおいでです」




「あぁ。ありがとう。お前はもう下がっていい」




門番とカイルの会話を聞きながら、やはりカイルは皇子だったのだと納得してしまう花音。



そしてその大きく厳重な扉が開かれるのを静かに眺めていた。