部屋の中を見回して。



ベッドにリルの姿がない事。



カイルが泣いている事。



きっとこの状況で王妃は全て悟ったのだろう。






「………っ、人殺し!」





鬼の形相、とはきっとこんな顔の事を言うのかもしれない。




カイルに掴みかかり、声を荒げる王妃の言葉が今のカイルの耳に届く事はなかった。




だけど、きっと自分を非難しているという事だけはボーっとする頭でも僅かに理解できた。