自分の子供に王位を継がせたいという王妃の気持ちがあるのだろう。



だが、それは裏を返せば所詮カイルの事は他人だと言っている様にも見える。



カイルはそれならそれで別に構わなかった。



もともと王位に興味があるわけでもない。



自分が出来損ないだという事ぐらいはわかっているつもりだし、リルの様に素直な者が王になればきっと国民の支持を得る事が出来るだろう。



それに、リルが王になればそれは兄である自分の誇りになる様にも思えた。




王妃とは他人。



だがリルは違う。



れっきとした父の子供であり自分の弟。




カイルの頭の中にはいつしかそんな構図が出来上がってしまっていた。