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「リル、こっちだ!」




「兄上、待って…あっ!」




「!リル!大丈夫か?!」





時は進み、生まれた赤ん坊は少年期を迎えた。



カイルはリルと名付けられた自分の弟をそれは可愛がり、二人は本当に仲の良い兄弟として成長していく。




リルが生まれてから王妃はしきりに「次の国王にはリルを」と口にする様になった。




本来ならカイルが引き継ぐその権利。



だがカイルが修行を怠り、自棄になりながら過ごしていた事実は城に住む者なら誰でも知る事実となってしまっていた。