父の言葉通りに抱き方を工夫すれば、少しづつ、本当に少しづつだけど赤ん坊が腕の中で泣き止んでいった。



そしてそんな些細な事にカイルの心は嬉しさを満たしていく。






「……可愛い、」





小さすぎる体も、手も足も。



温かな色を持つ命のシャボンも。



大きな泣き声はまるで必死に生きようとしているみたいで。






この日。




自分に弟が出来た日から少しづつカイルの時間は動きだしていった。