部屋に入ればベッドに横たわり、赤ん坊を胸に抱く王妃の姿が目に映った。




「男の子でございますよ」




産婆がそう言ったのを耳にして赤ん坊に目を向ければ丁度父が抱いているところだった。




オレンジ色の命のシャボン。




それは実に温かくて、優しくて。




虚無に満ちていたカイルの心を突き動かしてしまう。





「カイル。お前も抱いてみなさい」




父に言われ、赤ん坊を腕に受け取った。



首も据わっていない赤ん坊はカイルの腕で大きな声を出して泣く。




「ははは。お前は赤ん坊を抱くのは初めてだものなぁ。しっかりと首を支えてやるんだ」