次々と国民から上がる歓声。



父の隣の女性は終始にこやかで。



父は笑顔を見せながらもどこか作り笑いをしているのが見て取れた。




「国王と王妃は一対でなければいけない」




こんな思想が生まれたのはいつからだったのだろうか。



母の亡き後、その後釜として選ばれたのは現国王である父の遠い親戚。



父は新しく妻を迎える事を拒否していたと聞くが、国民の不安を自分の感情で放置しておく事は出来なかったのだろう。



それも王としての立場故。



もし、父が王位を引き下がり自分が王位についていたなら、父は新しい妻を迎える事もなかっただろうとカイルは思う。



だが、今の自分は誰が見たって王になど相応しくは無い。



それが自分でもわかっているからこそ、カイルは従人の言葉を思い出しまた悔しくなった。