サっと立ち上がり、空を飛んで行ってしまったカイルを見つめながら従人は溜息を漏らす。




「…タイミングが悪すぎた、」




王妃が亡くなる直前にカイルのプライドを引き裂いてしまった事。



もっと早くにああしていれば、もしかしたら今頃は闘志を燃やしていたかもしれないのに。



プライドが引き裂かれた直後に愛していた人物が亡くなってしまえば、廃人と化してしまうのも無理はない。



従人とてそれは理解している。



だけど、従人とて任務があった。



力づくで部屋に入ろうとするカイルを何としても止めなければならなかった。



終わってしまってから思ったところでそれはもう言い訳にしかならないのだけれど。