ふいに髪に鋭い痛みが走り、無理に立たされれば目の前には従人が苛立ちを露わにしている。




髪を掴まれている、と気付くには一瞬時間がかかった。





「…っ、いつまで甘えてるんだ、お前は!」



「……っ!」




反応が遅れてしまったのは、こんな風に感情を露わにする彼を見たのは初めてだったから。




「王妃様がどんな想いで居たと思ってる!自分が居なくなった後に息子がこんな腑抜けになれば報われる命も報われない!」



「…っ、お前に、何がわかんだよ、」



「お前みたいな甘えるだけしか出来ない者の気持ちなどわかって堪るものか!」




振りほどかれた髪。



それと同時に体が地面に叩きつけられて、どうしようもなく泣きたくなった。