「…っ、カイル…、もう…やめなさい…」




肩を掴んだ父を振り払おうとしても、それが叶う事はなかった。




「ローザは…、長い間ずっと病気だった…」




突然、話し出した父に視線を向ければ父も静かに泣いている事に気付く。




「…そんなの。初めて聞いたよ…?」



「…お前には知られたくないと。知ったらきっと…お前は優しいから心配するだろうと…ローザはずっとそう言っていたんだ…」




父から紡がれる言葉はカイルの思考を停止させる。




「ずっと…薬で発作を抑えていたんだ…。だが、少しづつ薬も効かなくなってきて…。それでもローザはお前に心配かけないようにと頑張ってきた…」



「え…?」



「命のシャボンが乱れを見せればお前は気付いてしまうから…。だから薬を多用していたんだ…。副作用にも耐えて、それでもまた飲んで…お前の前では…いつも笑っていたいと…」