そしてカイルは気付いてしまう。



だけれど、決してそれを認める事はしなかった。



認めてしまえば―――、




「…母上。僕、ずっと母上に会いたかったんだよ?だけど従人が煩くて…」



「…カイル、…ごめんね、」



「風邪。もうすぐ良くなるんだよね…?」




母の目が揺れたのが見えた。



自分の視界も歪みを見せていく。





「…ゲホッ、カイル…。貴方にも…もうわかっているでしょう…?」



「…何言ってるの?…ねぇ、母上。僕、シャボンの山の向こうに凄く綺麗な景色を見つけたんだ。風邪が治ったら一緒に見に行こう?」