フワリ、とカイルの体が宙に浮けば目の前で従人が僅かに手を動かすのが見える。



従人の魔力により浮かされているのだろう、と思いながらカイルは抵抗すらしなかった。



最早、自分が抵抗してもそれは無意味なのだと悟ってしまったから。



次の瞬間には体は自分の部屋にあって。



崩れ落ちるようにカイルは泣いた。





強大な魔力なんて。




そんな物を持っていたって従人一人、掠り傷一つ負わせる事が出来なかった。





悔しい。



悔しくて堪らない。





悔しさに自分の心が支配されるのを感じて、その日カイルは泣き続けた。