漂う煙が晴れればその向こうからは冷めた目でこちらを睨む従人の姿。




「…カイル様。咄嗟に防御を張ったからいいものの。城が壊れたらどうなさるおつもりですか」



「お前、何で…」



掠り傷一つついてないんだ。




そう訊ねようとすれば従人は冷めた目つきのままに言葉を落とした。





「カイル様。確かに貴方様には持って生まれた強大な魔力がある。だが、残念な事に貴方はそれを全くと言っていい程に使いこなせていない」



「なっ…、」



「宝の持ち腐れ、とは貴方のような方の事を言うのですよ」