「もてあそんでなんていないわよ、花田」

「そうかな?」



 にっこり笑って意地悪く笑う男、花田とは小学校の頃からずっと同じクラスという腐れ縁。

 私としてはそんな縁はぶった切ってしまいたいが、なかなかしぶとく、中学二年の今日まで続いている。

 花田は黙っていればものすごくかっこいいのだが、しゃべるとうるさい。

 それに女の子は誰でも大好きという馬鹿なので、付き合うのにつかれるのだ。



「あんたこそ、お返しは配ったの?」

「今は休憩中」

「は?」

「おれに愛をくれた女の子たちにひとりひとり、愛と感謝をこめて、お返しを手渡ししているんだけど・・・心をこめすぎて、なかなか数をこなせなくてね。

今はおれの美声をいためないように、のどを休めているところ」



 そういいながら、ホットのハチミツレモンを一口飲み干す。

 いつも思うことだけど、ついていけない・・・花田。

 私は額を押さえた。

 頭痛がする。



「ところで」