「わ、わかってるわよ」

「それに」



 花田が急にまじめな顔をしていった。



「気もないのに、チョコ配りまくるのもどうかと思うけど?

そういうとこが、女の子の敵をつくってるってわかってる?」

「・・・なによ、サッカー部だし・・・男友達だし・・・。あげてもいいじゃない」

「本命いるなら、本命だけにあげれば」

「なによ! 花田、あんたみたいに、だれにでも女の子にへらへらしているやつにいわれたくない!」

「有里だって似たようなものだろ? 女の子には冷たいのに、男にはやさしいじゃん? そういうのってどうだよ!」

「いいじゃない! うるさい!」



 ばんっと机をたたいて、立ち上がる私。

 周囲の視線が痛いよ。

 


「花田には関係ないからほっといてよ」

「関係、ないね。たしかに」

「そうだよ」

「そうだね」



 チャイムが鳴り響き、花田は自分の席に戻っていく。