先生が教えてくれたこと




そしてあたしは、キョロキョロと部屋を一通り見渡した。



すごく綺麗に片付いた部屋。


ひょっとしたらあたしの家よりきれいだったり?



そして、あたしはふと時計に目をやった。



時計はもうすぐ11時を指そうとしている。



明日も学校だし、終電前には帰らないとな…


先生にも迷惑かけられないし。



それにしても、先生どこ行ったの?



あたしはソファーに座っててと指示されてから先生の姿を見ていなかった。








それからまもなく、先生は現れた。


「俺のカバンはどこーメガネー」


歌いながら手探りでカバンを探す先生。


メガネってことは、今見えてないってこと?


「先生、テーブルの上!」



「おぉあった。さんきゅ。」


そしてカバンの中からおもむろにメガネケースを取り出す。


「先生普段コンタクトだったんですか?」


「うん。」



どうやらコンタクトを外す前に寝ちゃうことが多かったらしく、帰ってきたらすぐ外すようにしてるらしい。








それにしても、先生のメガネ姿…


かっこよすぎでしょ!!!


しかもメガネ似合いすぎ!!!



もうかっこよすぎて先生のこと見れないんだけど…



「あっすーどうした?」


先生があたしの隣に座り、買ってきたものを袋から出す。


「さ、食べよ。」


あたしに割り箸を差しだし、ニコッと微笑む先生に、あたしの心拍数がペースを上げる。


「いただきます。」


「いただきます…」



あたしは激しい脈拍と戦いながら、なんとか食べ物をお腹に入れた。






「はー腹いっぱい。」


隣で先生が満足げに伸びをする。


その時、


―ピーンポーン



家のチャイムが鳴った。


「はぁ?誰?」


半分ダルそうにインターホンまで歩いて行く。


「はい。」


………


うっすらと相手の声が聞こえる。


誰なんだろう?


「は!?何で!今無理!」



先生がそう言った直後、玄関のドアがガチャリと開いた。


そして、にっしーと呼ぶ声と共に、廊下を歩く足音も聞こえてきた。



もしや、誰かくる?







「にっしー誰か来てんの?あっ…」


あたしはついに声の主とご対面した。



「お前の彼女?」


あたしを見て一瞬固まってたのに、今はニヤニヤしている突然の訪問者さん。



「あぁ悪いかよ。」


ぶっきらぼうに言い放つ。


「ちょっといつから付き合ってんの?」


「数時間前。」



「は!?」


「だから邪魔すんなよ。ほら帰った。」



先生は玄関まで追いやって、訪問者さんは仕方なく帰って行った。








そして先生は、玄関の鍵をしっかり閉め、疲れた様子で戻ってきた。


「ごめんな急に。」


「いえ…友達ですか?」



「うん。10階に住んでる同じ学部の友達。」


「へぇ〜すごく楽しそうな人ですね。」



「そうか?ただうるせぇだけだぞ?」



先生は呆れ口調で言いつつ、食べ終わった容器の片付けを始めた。


あたしもそれを手伝い、そしてふと時計に目をやった。








もうこんな時間…


あと30分で終電なくなっちゃう!


テーブルの上が綺麗になったのを確認して、あたしはカバンを手に取った。



「先生、今日はありがとうございました。あたし帰ります。」


「はぁ!?もう帰っちゃうの!?」



「だって終電なくなっちゃうし、先生にこれ以上迷惑かけられないし。だから、帰ります。」


先生の返事を待たずに玄関に向かった。


「待って!」


手首を捕まれ、そしてあたしの体はすっぽり先生の腕の中に収まっていた。







「帰らないで。まだ一緒にいたい。」


耳元で聞こえる先生の甘い声に、体がどんどん熱を帯びていく。



「…ダメ?」


あまりに甘い声すぎて、溶けちゃいそうになるのを必死に堪えて、あたしは首を横に振った。



「良かった。」


先生の優しい口調に徐々に体の力が抜けていく。



そして、先生はあたしを支えるかのように、更に強く抱き締めた。








「先生…大好き」



普段なら絶対恥ずかしくて言えないのに、自然と口から溢れた。


それに対して先生は、


「……あーやべぇ」



そう言って突然腕を離し、ソファーの方へさっさと歩いて行った。



あたし変なこと言った?


先生の行動にハテナばかりが頭に浮かぶ。



そしてあたしは先生の後を追い、隣に腰かけた。