それはまだ寒く雪が降っていた頃。

先生に呼び出されたあたしは
冷たく冷えきった廊下にいた。


「おぉ華!待たせたな。」


そう言いながら先生が歩いてきた。

「いえ。」

「ここは寒いからこっち来なさい。」


先生に連れられて教室に入った。
教室の名前は【進路指導室】

別に暖房があるわけでもない。

廊下との温度だって
たいしてたいして変わらない。



適当に椅子に座ると先生が口を開いた。



季節は2月。

義務教育を今年で終える
中学3年生のあたし。

村沢華。(むらさわはな)

「華の進路についてなんだが、
この時期でまだ進路を決めてないのが
華だけなんだよ。」

「はい。」

「行きたい高校とかあるのか?」

「特にないです。」


呆れたような顔をする先生は
立ち上がると資料を持ってきた。