「これ……志都美さんの?」
「いいのか? 個人情報を勝手に」
「それどころじゃねぇんだよ、よく見ろ! 今朝からずっとこれ探してたんだからよ」


証拠品だ。
そう言って居吹は、手にしたその用紙を机に叩き付けた。

ざっと視線を走らせる。
おかしなところはないような気がしたが、そこはかとない違和感を感じて、来た道を戻るように改めて視線をさまよわせる。

そして、ある箇所が目に留まると、真琴は目を見開いて声を上げた。


「え……あ、え!? ちょっ、ここ!」
「え?」


彼が指差した部分を、直姫とりよを除く全員が揃って覗き込む。
そこに書かれた意味を理解するのに、おそらく最速でも五秒は要した。


『志都美 里吉

 Age 16 Sex M』


口は開かれないまま。
理解してからまず、どんな顔をして驚けばいいのかも、戸惑う。

そしてさらに数秒の沈黙の後、北校舎にはいくつかの声にならない驚きが響き渡った。