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「ほんっとうに、ごめんなさい……」


涙も引いてずいぶん落ち着いた彼女は、小さな声でぽつりと、謝罪の言葉を口にする。
直姫としては、いつまた濡れた目尻が決壊しないかと、それだけを気にしていた。


「いいよ、もう済んだことだし……」
「私きっと、ほんとは西林寺くんに気付いてほしくて」
「え……あ、絵の具のこと? ごめんね、鈍感で……」
「あ、いえ、西林寺くんが謝ることないんです! 悪いのは全部私なんです、ごめんなさい」
「いや、そんな……他の人にはなにもなかったんだし、自分は平気ですから」


直姫が言ったのは、劇の中盤、通路に置いてあった荷物で躓いて、捻挫したことだった。
痛む足でなんとかここまで急いだが、すでに衣装から制服に着替えているため、今はサポーターは見えない。

しかしそれを聞いた途端、城ノ内の表情がみるみる曇っていく。


「他の人にはって……西林寺くん、まさか怪我でも……!? ライトの破片とか……!?」
「え? や、違うよ。あの時は大丈夫、だったけど」