「それにしても、サトちゃんまで猫被ってたとはなー……」
そんなことにも気付かなかったのか。
単に鈍いのではないだろう、こいつは。
他人のことに興味がないのだ。
(……排他的なんだか、)
いや──きっと、本当はそうでもない。
良い意味で他人と距離を取る人間もいるが、彼女の場合は、良い意味で他人に無関心なのだ。
いわゆる、来る者拒まず去る者追わず、というやつだ。
自分はその、どちらでもない。
「あれですかね、類は友を呼ぶ。夏生先輩がそんなだから」
悪い意味で排他的で、悪い意味で他人に関心などない。
来る者には拒絶を向けるし、去る者には失望する。
夏生は、あまり考えずに、答えた。
「……あんたもね。」
ただ、そんな中にも捨て身で飛び込んで来る物好きも、ある程度はいるのだと、今は知っている。
「夏生ーぃ、帰るぞーぃ」
「直ちゃんもー、迷子になっちゃうにょろよー!」
そう考えて彼は、人混みではた迷惑なほど自分たちを呼ぶ、物好きな金髪と変人たちを、一瞥した。