三人の大男を引き連れた偽里吉と直姫が台所に着くと、榑松が飛び出してきた。

ちなみに石蕗邸は外見こそ純和風だが、リビングダイニングはフローリングだし、洋室も幾つかある。
台所も洋風のものと、だだっ広い和風のものとがあるが、普段主に使っているのは、使用人が慣れている洋風の方だそうだ。

榑松は相変わらず忙しそうに、落ち着きなく言う。


「おっと、こんな大勢でぞろぞろなんだってんですか。部外者をお台所に入れるわけにゃいきやせん、ごっついお兄さん方はここでお待ちくだせぇ」


そう一息に言うと、スーツの男たちに反論する暇を与えず、二人を引っ張って大きな扉の向こうに消えてしまった。
中で、飲み物や軽食の用意をしているのだ。

確かに彼らの大柄さならば、それほど広くもない台所の中では、どこにいたって邪魔になることは目に見えている。
使用人である彼女にああ言われてしまっては、大人しくそこで待っているしか手はなかった。

しかし、それからわずか数分後、事件は起きたのである。