「えっ?あ、はい…」
いきなり話しかけてきたその人は、ミルク色の髪に少しパーマがかかっていて、爽やかな雰囲気の、明らかに私より年上の人だった。
ブルーの瞳、薄い唇、長い脚に白い肌。
羽のかたちからして、おそらく天使の一族だろう…。
天使って言っても、童話に出てくるように、頭の上に金の輪がのっている訳じゃない。
背中に、手のひら程度の大きさの、小さくて白い羽が半透明ではえているだけ。
そんな違い。
ぱっと見、ただの人間にしか見えない。
むしろ、悪魔の方が人間との違いが激しい…。
『その人』は、私の隣に座り、ニコリと微笑む。
「お誕生日おめでとう♪」
「あ、はぁ…ありがとうございます?」
「アハハ、何で疑問形?」
「あ、すいません…」
「別に謝る事じゃないよ。俺、ユセナ。君より…3歳年上だね」
3歳…ってことは、20歳?
へぇ…。
「ユセナさん?何で私の名前を?」
って、何聞いてんだ私‼
私の誕生日パーティーに来たんだから名前を知ってて当然だろう。
自分で自分がバカらしくなってきた…。
「フフ、今気づいたって顔だね…」
「…はい」

「杏ちゃんさぁ…好きな人いる?」
「えっ?えっ…と…」
「いるの?」
「えっそんなっ…いない…で…す…」
そう言うと、ユセナさんは「そっか!」と優しく微笑んだ。
「俺さぁ……」
「ハイ?」
「杏ちゃんの事…スキなんだよね」
「あっ、えっ?そっ…えぇっ?」