「おはよ。香織」


私より先に来ていた香織に挨拶した。


「結衣!!昨日いつ帰ったの?雨大丈夫だった?」


昨日…

「あぁ…別に大丈夫だったよ」


昨日のことをあんまり思い出したくなかった。



隣には普通に田村君が座っていた。


そして岡田君と普通に話していた。



なんで普通にしてるの?


昨日のこと忘れちゃったの?


「結衣?どうしたの?」


香織がボッーとしている私を見て心配そうに話しかけた。


「別に…もういい」


「はっ?」


好きなんて疲れる。


田村君のことが好きなんだって香織に言われたときは、素直にそう思うことが出来た。


でも今は違う気がする。


もうどうでもいい。


疲れた。


これだけて疲れるなんて…私に恋なんて向いてないんだよ。


しかも人気者の田村君だもん。


きっと私なんてなんとも思ってないんだ。



「何がいいの?なんかあったの?」


香織がまだ心配そうに私を見る。


「なんでもないよ」


そう言うと私は一切話すのをやめた。


香織は渋々、前を向いた。


なんでだろう。


好きなのに。


好きじゃない。



彼女がいるから…
好きじゃない。



思い通りにならないから好きじゃない。



そんなの恋にはつきものなのに。



なんでわがままになってるんだろう。



ただ頑なに好きじゃないなんて。


ほどけかけた好きという気持ちは…


またきつく結んで。


私は自分の気持ちに嘘をついた。


どうして…
それだけなのに。


どうしてそれだけのことを許してあげることが出来なかったの?