昼休み…
足を引きずりながら教室に入ると香織が走って私の側に来た。


「遅かったね…大丈夫だった?田村君もいなかったけど一緒だった?」


「う…うん…」


私はそう言うと自分の席へと向かった。


周りは弁当を食べていたり、みんな自由に過ごしていた。


「どうしたの?何かあった?田村君と」


私は弁当をバッグから取り出しながら言った。


「…うん……」


香織は少しだけ驚いた顔をした。
でも、いつもみたいに余計な詮索はしてこなかった。

私はもう香織に言ってもいいだろうと思った。


そして二人で席に座ると今まであったことを全て話した。


ピンクの傘のこと。
それで私がどう思ったか。

保健室でのこと。


とにかく全てのことを話した。



香織は黙って聞いていた。


話し終わると香織は静かに口を開いた。


「それで…結衣なりに答えは出たの?」


私はゆっくり首を横に振った。


「私が思った感想言っていい?」


「うん……」


「結衣は…田村君のことが好き」


………


「ただそれだけ。どうして自分で気付かないかなぁ?」


私が…田村君のことを好き?
さっき、そんな考えがよぎったけどすぐに消した…


「私は…田村君のことが…」



もう…それ以上は何も考えないことにした…