ピンクの傘が私の頭から離れない…


帰り道も、ずっと考えていた。


雨が靴の中に染み込んでもなんとも思わない。


「どうしたの？最近おかしいよ。具合でも悪いの？」


香織が心配そうに話し掛けてきた。


「えっ…」


私は香織の方を見た。

不安げに私を見る香織。


言ったほうがいいのかな…


「あのさ……」


言ってもいいのか…
自分でも分からない気持ちを相手に言っても理解してもらえないんじゃないのか…


「最近…まだ高校生活に慣れなくて…」


嘘つき…


「なんだぁ…大丈夫！私がいるし！」


そう香織は笑顔で答えた。


「うん…そうだね…」


雨が染み込んだ足は冷たかった…