あの日から数日後…

桜は雨が降ったりもして、とっくに全て散っていた。


今は緑色の葉が生き生きとしていた。


もう夢は終わったみたいだった…


あれから自分でもなんであんなことをしたのか分からなかった。

あの時のことを考えると熱くなる。


でも…それと同時になぜか嬉しい気持ちまで込み上げてくる。


…分からない…


私は隣をそっと見た。


田村君が国語の教科書を開いていた。


窓からはいってくる風が田村君の髪を撫でている。


ただ…それだけの風景なのに私は見とれていた。


あの時、一緒に見た桜を見たときみたいに。


私は再び黒板に視線を移した。


あれから私は田村君にどう接すればいいか分からない。


「おい。深田」


田村君が静かな声で私を呼んだ。



「な…に?」


私は何を言われるのかドキドキしていた。


「……消しゴム貸して?」


「あぁ。はい…」


「サンキュー!」


こんな感じで。向こうのほうはいたって普通。


なんとも思ってないのかな…


自分だけ悩んでるなんてバカみたい…


私はそっとため息をついた。


国語の授業どころではなかった…