昼休み。

私は田村君にさっきのことを伝えようと思い、教室を出ていく田村君を呼び止めようとした。


「田村君…」


廊下には沢山の女子がいて声が届かない。


「た、田村君!」


ダメだ…ちょっと静かにしてくれないかなぁ〜


周りの女子達は田村君に話しかけようとしたり名前を呼んだり、そんなことはせず友達と、カッコイイねと言い合っている人もいる。


そんな中、早く廊下を抜け出したいのか田村君は下を向きながら歩いていた。


私は人込みをかきわけながら必死に追い付こうと名前を呼んだ。


「田村君」


「田村君!!!」


気付いてよ〜私は周りの人とは違って用があるんだから!!!


私は大きく息を吸うと、


「田村っ!!!!」


その声に田村君はこっちを見た。


キョロキョロと誰が呼んだのか探している。


そして人込みに埋もれた私を見つけると、こっちに走ってやってきた。


女子達は田村君を避けながら道を開けた。


「大丈夫か?何?」


「えっ?…」


私は周りを見渡して、ここで言わなきゃダメ?


という目をした。


すると田村君は私の手を握ると人込みを走った。


「ちょっと…!離してよ…」


私の心臓はバクバクと音をたてていた。



もう…こんなことしたらまた勘違いされちゃうじゃん…



そう思いながら私達は階段を駆け降りた…




このあと襲ってくる、嫉妬という波が来るのも知らず…