梅雨が明け、蝉の鳴き声が鬱陶しい季節に彼女との出会いが訪れた。「今日は転校生の紹介から始めます。」僕の担任の小野和子先生が出席簿をうちわ変わりに扇ぎながら言った。僕は京都の田舎にある中学2年の桜井和巳。今までの人生で初めて転校生が来ることを経験した。クラス中がザワザワしてる中、教室のドアが開いた。その瞬間クラス中の視線が教室のドアに注目した。転校生は黄色い通学帽を深々とかぶり、下向き加減で教壇の前まで歩いて黒板に名前を書き始めた。