ピルル…

 携帯の着信音が響く。
 ディスプレイは和沙。

「…もしもし…」

『…優?』

「和沙…どうしたの?仕事じゃ…」

『なんか優の声聞きたくなった』

 その一言にドキンッとしてしまう。
 うれしくて幸せなことで…。

「…あ、明日夏穂ちゃん来るよ」

『そうか…。俺はあとちょっとで帰れるよ』

「待ってるよ…」

 ほんのちょっとの会話。

 それでも和沙の声が聞けてあたしはうれしいの。
 2週間も会えないとなると心も弱くなっちゃうし。

 でも、涙はあたしを傷つけないんだ。
 泣くのは弱いんじゃなくて底知れない強さの証ってわかったから。

 …あたしってわがままかな…。
 声を聞いたら会いたいって思っちゃうの…。


 寂しくないなんて嘘。

 本当は会いたくて会いたくて…仕方ないのに…。