断じて有り得ない、と春樹は思った。


第一、菜々子がそれを望んでいるはずがない。


しかしはっきりとした意向は示さず、春樹は問いかけた。


『兄貴はどうするんだよ』


すると、親父殿は溜息混じりにこう言った。


『なんだ、おまえまだ正樹のことを気にしてるのか?いい加減に昔のことは忘れろよ』