「ひとりで帰れるか?」 「大丈夫だよ。……じゃあ、頑張ってね」 背中を向ける瞬間、椋ちゃんの隣に立つ女の人を見た。 ほんの一瞬。 だけど、向こうも見ていたみたいで、視線がバチってぶつかった。 余裕の微笑みを向ける、女の人と。 誰? 誕生日、その人と過ごしたの? 喉まで出かかった言葉を、ぐっと押し込んで歩き続ける。 女の勘が言ってる。 あの人も……。 椋ちゃんが好きなんだ。 椋ちゃんも、あの人が好きなの……?