「いえっ、本当に申し訳ありませんでした!
すぐに社長をお呼び致しますので、少々お待ち下さい」
「……はい。すみません、ホント」
ぺこぺこ頭を下げるキレイなお姉さんに恐縮しながら、受付から少し離れたイスに座る。
社長の娘ってだけであんな態度を取られるのって、ちょっとおかしいと思う。
社長婦人っていうなら、影で社長を支えてるんだから、堂々としていてもおかしくないけど……。
あたしは、違う。
ただ生まれたのがパパとママのところってだけの、ただの女子高生なのに。
ただの、女なのに。
「ご機嫌斜めみたいだな。
言っておくが、ママはパパの許可なしにパン教室に通う事を決めたんだからな。
咲良が締め出しをくらったのは、パパのせいじゃない」
はぁ、ってため息をついて天井を見上げてると、突然パパの顔がフレームインしてきた。