「なに?」
「早く食べないと遅刻だろ。
咲良が座らないと、いつまでたってもおあずけ状態なんだけど」
あたしが座るまで、ご飯を食べずに待っていてくれる椋ちゃん。
嬉しくて自然と緩んだ顔のまま、椋ちゃんの向かいに座って手を合わせた。
「はい、おあずけ終了。食べてよし!」
「猫に飼われてんのか、俺」
「ハムエッグが上手に作れて、椋ちゃんに忠実な猫だよ。
……お嫁に欲しくなった?」
「妹だろ、咲良は」
「まだ言ってるのか」っていうニュアンスで呆れ笑いされる。
あたしの告白を、椋ちゃんが断わる。
それは毎朝の事だし、あたしにだって免疫はついたけど。
毎日のように新鮮に恋に堕ちているあたしは、振られる度にやっぱり少しだけ凹む今日この頃。