考えてみれば、ランキングを聞いたのは数年も前の事。
既に順位が入れ替わってるのかもしれないって不安になって聞くと、椋ちゃんは呆れたように笑った。
「いや。今もコレが一番好きだけど」
「……あたしの作るハムエッグが?」
「誰が作ったとか関係なく、ハムエッグが」
一瞬ときめいた胸がテンポを落とす。
ぶーっと口を突き出しながら、小さなため息をついた。
いっつもこうだ。
椋ちゃんのハートをわしづかみしてやろうと、直球を投げても変化球を投げても、しまいには暴投してみても。
涼ちゃんはバッターボックスに立つ気配すら見せずに、全部涼しい顔をして見逃すんだ。
あたしの努力に気づかないふりして、あっけないほどするっと交わされる。
不毛だなぁ、と、もう一度息を吐いたところで、椋ちゃんの視線に気付いた。
顔を上げると、こっちを見て微笑む椋ちゃんの姿。