「コンビニデザートを手がける事は数年前には決定してたらしくて、誠吾くんはその話をきっかけに料理の世界に入ったらしい」
「それって、デザート作るなら自分が料理を分かってないとダメだからって事?」
「だろうね。責任感が強くて仕事熱心だから安心して任せられるって、社長も言ってたよ」
「……そんな“ちょっといい話”みたいの聞いたって、あいつの評価は上がんないから。
っていうか、父親の会社が大きければなんでも許されると思ってるところがムカつく」
「……咲良だってパパの肩書き利用して葉山くんを自分のモノにしようとしたろ」
「それに、取引先の社長娘に手出すとか、責任感のかけらもないじゃん!
関係の悪化とかいうけど、それを気にするなら、パパの娘のあたしに手を出したりする方が問題じゃないの?」
「それは……まぁ、その通りだが」
「でしょ? とりあえず、やめるから。料理教室」


本気で言ったのに、パパが「まぁ、そこまで怒るなって」と誤魔化すように笑う。

軽い話ですまそうとしてるのが分かって、キっとパパを睨んだ。