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「咲良、あまり葉山くんの家に入り浸るのはやめなさい。
気持ちも分かるが、少しは葉山くんに自由な時間をあげないと可哀想だろう」


椋ちゃんに送ってもらって、門限の9時を10分すぎてついた家。

玄関で仁王立ちしてたパパの一言目は、予想外だった。

両思いで付き合ってるっていうのに、椋ちゃんの心配なんかしてるし。

パパの心配はとんちんかんだと思う。
親なら、椋ちゃんの言うように、あんな事やそんな事をしてないかっていう心配をするべきだと思う。

……されても困るから特には言わないけど。
パパにはこのまま、とんちんかんな心配させておいた方が絶対にいいし家も平和だ。


「言っておくけど、仕事が料理教室の近くだったからって迎えにきてくれたのは椋ちゃんなんだからね」


クツを脱いで、パパの横を通り過ぎる。
そのまま階段を上がろうとして、勢いよくパパを振り返った。