「これ貼って隠しとけ。
俺がつけたのも、彼氏がつけたのも」
「は?」
「女子高生がキスマークなんかつけてると、変な目で見るオヤジもいるだろ」
ぐっと近づいた先生が、あたしの首に指先で触れる。
はっとして突き飛ばそうとしたけど……。
それよりも先に、後ろから椋ちゃんに抱き寄せられた。
「りょ……」
さっき見られてたのが先生がつけたキスマークだって事に気づいて、理由を説明しようとしたけど……。
椋ちゃんの怖い顔が、それを止める。
椋ちゃんは先生を睨むように見た後、あたしの肩を抱いて、止めてある車に乗せた。
そして、自分も乗り込んでエンジンをかける。
車が走り出した時、一瞬だけ先生を見たけど……。
先生は、さっきの場所に立ったまま、こっちを見てた。
……真剣な顔で。
その目が、なんでだか意味深なモノに思えた。