「技術的には少し上がった気もしないでもないんだけど……。
とりあえず、ここ最近のあたしは世界中の誰よりも“アホ”って言われてると思う」
口癖か!ってツッコみたくなるくらい、言われてるし。
名前なんかほとんど呼ばれた事ないのに、アホって言葉だけは異常なくらい言われてる。
「まぁ、もう慣れたけど」
苦笑いしながら紅茶を飲むと、隣に座ってる椋ちゃんが心配そうにあたしを見た。
「咲良、社長には俺から話をつけるから、ツラいなら無理して通わなくても……」
「ううん。する。
だって、あたし、自分が何もできないの自分で分かってるし。
それでも椋ちゃんはお嫁さんにしてくれるって言ってくれたんだもん。
あたしが出来る事なら頑張りたい」
椋ちゃんのお嫁さんになれるなら、世界どころか宇宙一アホって言われたってなんでもない。