「社内の人間は俺の意見に頷くだけだし。
その辺の女捕まえてまで聞こうとは思えないし、ちゃんとした意見がもらえるとも思わねーし」
顔色が戻った先生が、はしを持ってかきあげを一口食べる。
それから「うまいな。さすが俺」って呟いた。
作ったのはあたしだけど、そこはスルーしておく。
「その辺の女って……なんか偏見」
「なにが?」
「先生の会社が飲食関係だっていうのは知ってます。
スーパーとか飲食店に商品を卸してるのも。
パパに聞いたから」
「なにが言いたいんだよ」
「先生の会社が作った商品をお金を出して食べてくれてるのは、“その辺の女”とかだし。
コンビニデザートにこだわってるけど、もしそういう商品を新しく作るなら。
その消費者のほとんどは、“その辺の女”ですから」
今はスイーツ男子なんていう類の人も結構いるらしいけど、それでも年間スイーツ消費率みたいなアンケートを取れば、人数的には女性の方が多いはずだ。