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「アホか。なんでこんな事もできねーんだよ」
「はい!」
「油にびびるな!」
「はい!」
「おおざっぱすぎるだろ! このアホ!」
「はい!」
「なんでもかんでも、はいはい言ってんじゃねー!」
「はい!」
なんかもう戦いみたいなてんぷら作りを終えて、お皿に盛り付ける。
「おまえの実力なら一品が限界だろ」って先生が言うから、今日作ったのはかき揚げだけ。
たまねぎと、にんじんにイカ、ネギに桜海老。
彩りキレイなかき揚げをお皿に乗せて先生に突き出すと、先生はなんでだか顔をしかめた。
「おまえ、今日おかしくねー? 素直すぎる」
「そんな事ないです。それよりさっさと試食しますよ」
「でも明らかにおかしいだろ。
体調とか悪いんじゃ……」
「あ、おいしい! さすが先生! 天才ですね!
毎日でも食べたいくらいおいしいですっ」