「おはよう、咲良」
「おはよ、パパ」


あいさつを交わしながら席につくと、ニコニコしながら見てくるパパに気付いた。


「なに? いい事でもあったの?」
「いや、咲良が楽しそうに料理教室に通ってくれてるのが嬉しくてな」
「……あれって、“教室”なの?
生徒、あたしだけじゃん」


マンツーマンで指導とか。
家庭教師じゃないんだからって、初めて行った時は、かなり驚いたんだけど。
しかも、家庭科の家庭教師とかありえないし。


「誠吾くんは、元々料理教室をやってはいなかったんだよ。
けど、料理には感心が強いのを知っていたから、パパが頼んだんだ。
一時的にお願いできないかって。
だから、こっちが頼んで引き受けてもらったのに断わるなんて失礼でできなかったんだ」
「ああ、それで、あんなに強引に通わせたんだ」