「もしかして、妬いてる?」
椋ちゃんが、ふぅん、ってだけ呟いて黙るから、期待して聞く。
『さぁな。咲良、そろそろ朝食の時間だろ。
遅れるとまた社長に怒られるんだろ?』
「あー……うん。
じゃあ、お仕事頑張ってね」
『あ、咲良』
「ん? なに?」
切ろうとしたところで呼び止められる。
『今日、料理教室早く終わったら寄っていくか?
昨日、出張だったから土産に地域限定のアイス買ってきたから』
「え、いいの?! 行く!」
『迎えに行こうか?』
「ううん、大丈夫!
もしかしたらあたしの方が早いかもだし。合鍵もあるから平気」
『じゃあ、夜にな』
「うん!」
恋人っぽい約束が嬉しくて、ルンルン全開で電話を切る。
そのまま階段を下りてダイニングに行くと、テーブルには既にパパの姿があった。