「へぇ。それが自信作か」
「……っていうか、料理教室のくせに作る料理がサラダとか、おかしいし。
もっと料理っぽいの教えて欲しいんですけど」
「そーいう事はサラダをちゃんと作れてから言え。
ほら、鍋沸騰してる。早くしろ」
「あ、えっと、エビエビ……。
っていうか、エビの乗ってるサラダなんかまず作らない……」
「あ? なんか言ったか?」
「いえ。高級食材使ってて、さすが副社長だなーって」
パパが、あたしに何の相談もなく勝手に決めたのは、取引先会社の副社長が先生をする料理教室。
完全に偏見だけど。
ワイルド系の男の人に“先生”も“副社長”って肩書きも、なんか似合わない気がする。
どっちかって言うと、“コーチ”っぽい。
しかも、すっごいスパルタの。