櫻井が、ホントにもう吹っ切ってるのかも……って感じるほどに、いつも通りの明るさを取り戻してるから。

そのおかげで、感じてた罪悪感も少し減ってる。


……だけど、だ。
毎日のように椋ちゃんの事をリサーチしてくるのはやめて欲しいんだけど。

1回だけの面識で完全に、憧れの人を椋ちゃんに設定したらしい櫻井は、記者ですかってツッコみたくなるくらいの勢いだし。

好きな食べ物も、寝る時はパジャマ派かどうかも、使ってるシャンプーも。

誰にも教えてなんかやらないけど。




「――考え事してんじゃねーよ」
「いったぁ……。
先生が頭叩いたせいで、完全に5mm間隔じゃなくなっちゃったんですけど」


叩かれた後頭部を押さえながら言うと、先生が刺さるような眼差しで睨む。