「――葉山です。こんな時間にすみません。社長」
「しゃ……っ、パ……?!」
大声を出しそうになったあたしを、椋ちゃんの軽く上げられた手が止める。
「はい。これから少しで構いませんので、お時間頂けないでしょうか。
……いえ。私事です」
これから?
私事?
色々と考えをめぐらせてると、「では、伺わせていただきます」って、椋ちゃんが電話を切る。
「今から、咲良のうちに行くから。すぐ用意して」
「え、うち? 送ってくれるって事?」
「――いや、“彼氏”として挨拶するために」
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