「俺は、今すぐに結婚してもいいくらい、本気で考えてるから」
「え……」
「言ったろ。転勤になっても連れて行きたいって。
それでも社長と話し合えって言ったのだって、咲良の両親によく思われたいからだし。
本気じゃなければ、相手の親の気持ちまで考えない」
「それはそうだけど……でも、結婚って……」
「咲良が不安になったりするのは、俺の気持ちを信用してないからっていうのもあるだろ。
まぁ、ずっと咲良の気持ちから逃げてたんだから、信じてもらえなくても仕方ないけど」
「違うよ、椋ちゃんの事は信じてる。
ただ……あたしの気持ちの方が大きすぎるから、差を感じちゃうだけで」
「だから、そこから間違ってる。
ちょっと待ってろ」


そう言った椋ちゃんが、Yシャツの胸ポケットからケータイを取り出す。
そして、何回かプッシュして耳にあてた。

その第一声は……。